筋トレにおいて、食事のPFCバランスは避けて通れない知識だ。
PFCバランスを知らずに食事をしていると、筋肉は増えずに脂肪だけ増えることになる。
試しに以下の質問に○×で回答してみてほしい。
・牛丼は筋トレ向き?
・米より肉を優先すべき?
答えは両方×だ。
牛丼は脂質が多くたんぱく質はあまりガッツリ摂れない。
PFCバランスの観点では米も肉もどちらも大事だ。
こういったことを解説していく。
読み終わる頃にはPFCバランスを意識して食事を選べるようになっているだろう。
では始める。
そもそもPFCバランスとは?
(PFCバランスの意味を知っている人は飛ばしてもらって構わない)
PFCバランスとは、三大栄養素であるProtein(たんぱく質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)のバランスのことだ。
筋肉を作るのにたんぱく質が必要なことはよく知られているが、たんぱく質だけ摂ればいいわけではない。
炭水化物(米、パン、麺)は体を動かすエネルギーになる。車でいうとガソリンだ。不足すると疲れやすくなる上、体の中のたんぱく質が分解されて筋肉が減る。
脂質は不足すると肌が荒れたり、脂溶性ビタミンの吸収が鈍くなったりする。また、脂質なしで必要なカロリーを摂るとなると、食事の量が増える。
このように、筋肉を増やすには、筋トレをするのと同時に、正しいバランスで食事をしていく必要がある。
筋トレ(筋肥大)の理想のPFCバランスと計算方法
筋トレ(筋肥大)で意識すべきPFCバランスは以下のとおり。
カロリーベース | 重量ベース | |
たんぱく質 | 20% | 23% |
脂質 | 25% | 13% |
炭水化物 | 55% | 64% |
(※たんぱく質:4kcal/g 脂質:9kcal/g 糖質:4kcal/g)
以下のサイトでPFCバランスが計算できる。
カロリーとPFCバランス(マクロバランス)計算 – 高精度計算サイト
出てきた結果によって微調整しよう。
例)身長170cm、60kg、30歳男性
→カロリー2160kcal、たんぱく質90g、脂質54g、糖質328.5g
という感じで、1日の摂取量の目安がわかる。
「脂質はたんぱく質の6割ぐらい摂ればいいんだな」と覚えておいてほしい。
ダイエットの理想のPFCバランスと計算方法
ダイエットで意識すべきPFCバランスは以下のとおり。
カロリーベース | 重量ベース | |
たんぱく質 | 20% | 23% |
脂質 | 25% | 13% |
炭水化物 | 55% | 64% |
気づいた人もいるかもしれないが、筋トレとまったく同じバランスだ。
つまり、PFCバランスは変えないまま、摂取量を制限するのである。
脂質を制限するとビタミン吸収が阻害されたり肌が荒れたりする。糖質を制限するとエネルギー不足で疲れやすくなる。だからバランスは崩さないほうがいい。
同じく以下のサイトで計算してみよう。
カロリーとPFCバランス(マクロバランス)計算 – 高精度計算サイト
例)身長155cm、50kg、30歳女性
→カロリー1665kcal、たんぱく質75g、脂質45g、糖質240g
たんぱく質の上限は体重×2gまで
たんぱく質は多ければ多いほどいいと思っている人がたまにいる。
しかしダメだ。たんぱく質は1日あたり体重×2gが上限だ。
その理由は2点。
・それ以上摂っても吸収されにくい
・腎臓と肝臓に負担をかける
たんぱく質は量を摂れば摂るほど吸収が鈍くなっていく。そして体重×2gを超えるとほぼ吸収されない。つまり効果がない。
また、たんぱく質は代謝の過程でアンモニアが発生する。肝臓ではそのアンモニアを毒性の低い尿素に変え、さらに腎臓で濾し取って排出する。つまりたんぱく質は摂れば摂るほど肝臓と腎臓の仕事が増える。
各臓器に余分な負担をかけないためにも、たんぱく質量は計算して適量を心がけよう。
ケトジェニックダイエットは有効か
ケトジェニックダイエットというものがよく紹介されている。
ケトジェニック(ケトン食)とは、もともと糖尿病患者のための食事で、糖質をほぼ摂らず、その代わりに脂質を増やしてエネルギーを補うというものだ。
体は本来、糖質(ブドウ糖)を使ってエネルギーを生み出すようにできているが、数週間から数か月ケトン食を続けると、糖質の代わりに脂質を燃やす回路が発達する(正確には脂質を分解してできた「ケトン体」を利用する)。
つまり脂肪が燃えやすい体になるわけだ。
これは事実として、ダイエットには有効な方法とされている。
ただし、1回や2回ケトン食に変えただけで脂肪が燃えやすくなるわけではない。継続する必要がある。
ケトジェニックダイエットのデメリット
ケトジェニックダイエットは脂質を多く摂るため、血中コレステロールが増えて動脈硬化のリスクが増す。
そのため、長期にわたって推奨されるものではない。
筋トレで意識したい食事のポイント
筋トレで意識すべきPFCバランスは、
P(たんぱく質)20%
F(脂質)25%
C(炭水化物)55%
と書いた。
しかし、やってみるとわかるが、実際このバランスで保つのはかなり難しい。
基本は自炊だ。外食だとかんたんに脂質がオーバーする。脂質がたんぱく質の6割となる食材・調理法は限られている。
覚えておきたいメイン食材
一番大事なのはたんぱく質だ。たんぱく質は意識して摂らないとすぐ不足する。
スーパーで買うべき高タンパク低脂質の食材は以下のとおり。
・豆腐
・鶏むね肉
・鶏ささみ
・牛もも肉
・豚もも肉
・魚全般(加工品含む)
・たまご
メイン食材はこの中から買おう。ほかは見なくていい。
メニューが制限されるのでたまごも一応書いたが、実はたまごはやや脂質が多めだ。そこで、オムライスなどたまごメインの食事は避けて、他の低脂質食材と一緒に摂るようにしよう。
調理法は揚げ物以外で
から揚げ、とんかつ、天ぷらなどの揚げ物はなるべく避けよう。
食材自体に脂質がある程度あるので、さらに油でコーティングするとすぐに脂質がオーバーする。
「そんなこと言ったら炒め物も同じじゃん」と思うかもしれないが、炒め物は油の量がコントロールできるし、だいいち炒め物までナシにすると調理の選択肢が限られてしまうので、ここはOKとする。
とにかく揚げ物はNGとだけ覚えておこう。
ビタミン・ミネラルも大事
ビタミンやミネラルももちろん大事だ。
特にビタミンB群はエネルギー代謝に必須のビタミンだ。中でもビタミンB6はたんぱく質代謝に必要なビタミンで、かつお、まぐろ、豚肉、バナナなどに多く含まれている。欠かさず摂るようにしたい。
ビタミンは脂質のように貯めておけるものではないので、毎日摂ることを心がけよう。
とはいえ野菜・果物・乳製品なども含めバランスのいい食事を心がけていれば、極端に不足することはない。どの食材がどの栄養素などと細かく覚えなくても大丈夫だ。スーパーに行くたびに毎回違う野菜を買ってみる、ぐらいの意識でまったく問題ない。
しっかり摂れている自信がないならサプリをおすすめする。
長時間の空腹は避けて間食を摂る
筋トレ中は長時間の空腹は避けよう。
空腹が続くと、体は筋肉を分解してできたたんぱく質をエネルギーにし始める。筋肉を増やしたくて筋トレをやっているのに、筋肉が減ってしまっては元も子もない。
そこで、腹が減ったら何か食べる。するとエネルギーが補給され、筋肉の分解が少なくなる。
目的はエネルギーとなるブドウ糖の補給なので、間食は糖質メインにしよう。おにぎり、パン、さつまいも、和菓子など。なければ果実系のジュースでも構わない。
たんぱく質の量は1食30gが目安
高タンパク低脂質の食材や調理法がわかったら、それを心がけていれば脂質を摂りすぎることはない。
問題は狙った量のたんぱく質を摂れているかどうかだ。
そこで、おおよそでいいのでたんぱく質をカウントし、1食30g程度になるようにする。
例(カッコ内はたんぱく質量)
朝食:白ご飯200g(12g)、生卵(6g)、納豆1パック(6g)、牛乳1杯(7g)で計31g
昼食:白ご飯200g(12g)、照り焼きチキン(20g)で計32g
夕食:白ご飯200g(12g)、サバの塩焼き半分(14g)、豆乳1杯(7g)で計33g
1日合計96g
といった感じで頭の中で計算していく。
足りなかったらその分プロテインを飲む、という感じだ。
これでたんぱく質が足りているかどうかがわかる。
PFCバランスの優れた外食チェーン店
基本は自炊をすべきと言ったが、たまには外食をしたいときだってある。
そんなときにおすすめな外食チェーンを紹介する。
・なか卯
なか卯は親子丼がメインだ。鶏肉とたまごの組み合わせは間違いない。しかも安い。
・やよい軒
やよい軒はいわゆる定食屋だが、中でもしまほっけ定食がおすすめだ。1食でたんぱく質が50g摂れる。
・ケンタッキーフライドチキン
揚げ物?と思ったかもしれないが、意外にPFCバランスが優れている。おすすめは資質の少ない鶏むね肉を使った「骨なしケンタッキー」と「チキンフィレバーガー」だ。
・回転ずし
ほとんどの魚は高タンパク低脂質だ。そのため好き勝手食べてもいいバランスにおさまりやすい。
より詳しい情報はこちらにまとめてあるので参考にしてほしい。