「筋トレがんばってるけど筋肉痛にならない…これって効果出てるの?それとも意味ないの?」
自分も過去に同じ疑問を抱き、そのときに調べたことをまとめた。
意味ないんじゃないのか、努力が無駄になっているのではないかと不安に思っている人には役に立つ内容だと自負している。
では始めよう。
筋肉痛にならないと筋トレは意味がないのか
「筋肉痛にならないと筋トレは効果がないのか?」
答えは「効果はあるが薄い」。
筋肉痛が起こるメカニズムは、
筋肉に細かな傷がつく→炎症反応が起きる→痛みを感じる
という仕組みだと考えられている(まだ完全に解明されていない)。
痛みが起こらないということは、筋肉に傷がついておらず(or傷がわずかで)、超回復も起こらない(少ない)ということだ。
ヤマトや佐川の配達スタッフはみんな筋肉モリモリだが、あれは頻度の問題だ。同じ筋肉痛の出ないトレーニングでも週5でやっていたら週2の2.5倍のスピードで筋肉がつく。
しかし我々の多くは週5でトレーニングできるわけではない。週2でいまいち効果を感じられないでいるのなら、なおさら戦略を立ててやる必要がある。
筋肉痛にならないまま筋トレを3ヶ月続けた自分の体験談
自分もなかなか筋肉痛にならなかった。
一発目はしっかり筋肉痛になるのだが(3日間も!)、2回目からはてんで起こらない。
サボっているつもりはない。毎回パンパンになるまで続けていた。筋トレ後はプロテインを振る力が弱くてなかなか溶けなかった。
姿勢もベテランに教えてもらって正しいフォームが身についていたはずだ。
栄養だってPFCバランスを計算しながら、少しオーバーカロリー気味で摂り続けていた。食べたくもない白米をおやつにほおばる日々だった。
なのに。
まったく筋肉が増えてなかった。
最初 | 3か月後 | |
筋肉量 | 40.5kg | 40.3kg |
脂肪量 | 12.8kg | 14.8kg |
(※INBODYで測定)
筋肉増えてない!むしろちょっと減ってる!
脂肪だけ増えてる!
ショックだった。
どういうこと?
本当に追い込めてなかった
「筋肉痛にならないことなんてないですけどね」
同じく週2で通っている後輩(筋トレでは大先輩、むしろ師匠)に相談したときに言われた言葉だ。
「立てなくなるまでやってます?車のハンドル握る手に力が入らないぐらいまでやってます?」
そう聞かれてわが身を振り返った。立てなくなるまでやっていたか?
…やってない。
少し休憩したらふつうに歩けた。多少ヨロヨロするが、階段の上り下りぐらいはふつうにできた。
腕もそうだ。「車のハンドル握れなかったら帰れないじゃん」と笑って返していたが、そこまで追い込めたことはない。
限界までやっていたつもりだったが、どこかでブレーキをかけてしまっていたのだ。だから余力があった。
自分がやった追い込み方
肉体的限界のはるか手前でギブしている。どうにかして脳のリミッターを外さなければいけない。
そこで思いついたのがこれだ。
「アドレナリンを出せばいいのでは?」
アドレナリンはスポーツやケンカで興奮状態のときに出るホルモンだ。闘争と逃走のホルモンとも呼ばれ、危機が迫って限界以上の力を発揮しなければならないときに出る。
ローイングマシンに座って、嫌いな人を思い浮かべてみる。
とあるクレーマーが浮かんだ。世間話を持ち掛けてきたから何気ない一言を言っただけで30分間挑発混じりにネチネチ責めてきたあのクレーマー。
ああ…
あああ…
ブッ○す!!!
(※良くない)
ローイングマシンを力任せに引っ張る。イメージは腕ひしぎ十字固めだ。あいつの腕をブチ折ってやる。
(※良くない)
続いてバーベルスクワット。
あいつを縛り付けた板を担いでいる姿を想像する。担いだまま立ち上がり、天井にミチミチ押し付けて圧殺する姿を想像する。
○ね○ね○ねェッ!!!
(※良くない)
脳のスイッチが切りかわっている感覚があった。
翌日、見事に筋肉痛がきた。
以来、トレーニングのときは毎回心の中で嫌いなやつをボコボコにしている。
筋トレで筋肉痛にならない原因と解決方法
自分の場合はリミッターを外せていないことが原因だったが、一般的な原因はいくつかある。
・フォームが間違っている
・負荷と回数が合っていない
・追い込みが足りない
以下、順に紹介する。
フォームが間違っている
フォームが間違っていると、狙った筋肉に効かせることができない。
また、ケガもしやすくなる。
たとえば足腰を鍛えたいとする。代表的な種目はスクワットだ。正しいフォームは、膝がつま先より前に出ないように尻を後ろに突き出す。
これを意識しないでやると、膝が90度より曲がって膝の負担が大きくなり、故障の原因となる。
他にも、たとえば大胸筋を鍛えたいとする。代表的な種目は腕立て伏せだ。胸に効かせるには、右手と左手の幅をある程度空ける必要がある。
しかし、手と手の幅を狭めてトレーニングしている人がいる。これで主に鍛えられるのは上腕三頭筋だ。大胸筋も使うが、さほど追い込めない。
このように、効果的に筋トレするには、まず正しいフォームを身に着ける必要がある。
解決方法
正しいフォームを身に着ける近道は、人に見てもらうことだ。
トレーナーがいれば一番いいが、詳しい知人でもかまわない。最初は恥ずかしいかもしれないが、頼んでみよう。間違ったフォームでやり続けてケガするよりよほどマシだ。
一人でやるとフォームが間違っていることに気付けない。youtubeをいくら見ても、自分の姿勢のどこが間違っているかを指摘してくれることはない。
自分は以前、バーベルスクワットを見様見真似でやっていたが、あるときトレーナーに見てもらう機会があり、チェックしてもらった。
すると、腰の角度が深すぎると指摘された。極端にいうと猫背のような姿勢だと。もっと背筋を伸ばして、胸を張ってやらないと腰を痛めると言われた。
自分ではしっかり胸を張っているつもりだった。意外だった。
言われたとおりやってみると窮屈な姿勢だった。一人だとこんな窮屈な姿勢が正しいフォームだなんてとても思えなかっただろう。
以来、教えられた姿勢を忠実に守っている。
狙った筋肉に「効かせる」とはどういうことか
筋肉に「効かせる」という表現をよく見る。
どんな状態になったら筋肉に効いていると言えるのか? 初心者はわかりにくいはずだ。
答えは単純、トレーニング後にその部位が疲弊している感覚があったら、効いていると言える。
たとえば腕立て伏せは大胸筋がメインターゲットだ。腕立て伏せをしたあとに、腕の付け根の部分が疲弊している感覚があるか? なければ正しいフォームでできていないか負荷が足りないかのどちらかだ。
(大胸筋は胸全体に広がる筋肉だが、疲労した感覚があるのは胸ではなく腕の付け根部分だ)
効いているかどうかわかるためには、どのトレーニングでどの部位が鍛えられるかを知っておく必要がある。
ただし、筋肉痛が出るまで追い込めているかどうかはまた別だ。
負荷と回数が合っていない
2つ目の原因は、負荷と回数が合っていないことだ。
正しい負荷と回数の目安は以下だ。
限界の回数 | インターバル | |
筋力UP | 1~7回 | 3~5分 |
筋肥大 | 8~10回 | 1分~1分30秒 |
持久力UP | 15~20回 | 30秒~1分 |
筋肉をつけたいにしても、痩せたいにしても、真ん中の「筋肥大」を目標にするといい。
8回程度で限界を迎えるような負荷でやっているか?
20回できるような軽い負荷でやっていたら、筋肥大はなかなか望めない。
また、1回しかできないような重すぎる負荷でやると、フォームを崩してしまうことが多い。何が何でも引っ張ろう(押そう)として、全身の筋肉を総動員するからだ。無理をしてケガをしては元も子もない。
追い込みが足りない
3つ目の原因は追い込みが足りないことだ。
キツくなってきたらすぐにやめてしまっていないか?
キツい状態から1回でも多くやるのが追い込みだ。
「もう限界!」と思っても、実は本当の限界はまだ先だ。
限界には心理的限界と肉体的限界の2つがある。
肉体的限界は本当の限界だ。迎えると体が動かなくなる。火事場の馬鹿力はこれだ。
しかし、ふだんから肉体的限界を迎えていると、日常生活がままならない。そこで脳が、もっと手前でブレーキをかける。これが心理的限界だ。
「キツい…」と思っているのは、心理的限界だ。
ただし、心理的限界を突破するのは訓練しないとなかなか難しい。
追い込み方法① インターバルを短くする
追い込み方法1つに、インターバルを短くするというのがある。
ふだんだったら1分休憩するところを、10~15秒で再開するのだ。
限界までやっているから、10秒の休憩だとせいぜい追加で2~3回しか上げられない。これでいいのだ。10秒休憩して再開を繰り返す。1回も上がらなくなったらいつものインターバルに入る。
これでいつもより追い込むことができる。
ちなみにこの方法は「レストポーズ法」という名前がついている。
追い込み方法② インターバルなしで負荷を徐々に下げていく
2つ目の追い込み方法は、インターバルなしで負荷を徐々に下げていくというものだ。
いつもの重さで上げられなくなったら、2/3程度に軽くしてすぐ再開する。
限界までいっても、負荷を下げればあと数回できる。
10kgで限界までやる
→7kgに変更して限界までやる
→4kgに変更して限界までやる
といった感じだ。
自分はローイングマシンでよくやる。最後には腕が動かなくなる。
これをやるには、重さをすばやく変更できる必要がある。
そのためにはマシントレーニングがおすすめだ。ピンを差し替えるだけで負荷が調節できる。5秒もかからない。
逆にバーベルでは向かない。おもりを付け替えるのに時間がかかるからだ。
ちなみにこの方法は「ドロップセット法」という名前がついている。
追い込み方法③ 下ろすときに時間をかける
3つ目の追い込み方法は、下ろすときに時間をかけるというものだ。
筋肉の動き方は3つある。
・収縮する
・伸びる
・キープする
このうち、筋肉にもっとも負荷がかかるのは「伸びる」ときだ。ここに3秒かける。
たとえばダンベルでトレーニングをするなら、下げるときに心の中で3秒数えながらゆっくり下ろしていこう。驚くほど長く感じるはずだ。
また、速いペースでやっていた時に比べ、できる回数も少なくなる。
ちなみに自分は最初に腹筋で試した。これまで12回できていたのに、ゆっくり下ろすやり方に変えたら6回しかできなかった。それだけ負荷が増しているということだ。
ちなみにこの方法は「ネガティブレップス法」という名前がついている。
追い込み方法④ 心のリミッターを外す
冒頭に述べたが、限界には「肉体的限界」と「精神的限界」の2つがある。
ふつうは生理的限界のはるか手前で精神的限界がくる。体が壊れないように脳がブレーキをかけているのだ。
限界までやっているのに筋肉痛がこないのはそういう理由だ。
そのリミッターを外す。
確実なのはアドレナリンを分泌させることだ。
スポーツをやっている人なら慣れているだろうが、これまであまりスポーツをやってこなかった人はアドレナリンを出し慣れていない。
自分がやったのは心の中で嫌いな人を思い浮かべてそいつをボコボコにする想像をすることでアドレナリンを出していたが、要は脳を戦闘状態にできればなんでもいい。
腹が立った場面を思い返して、イライラしてみよう。好戦的な気分になってくるはずだ。その状態で高負荷に挑んでみよう。